【予測】2060年、日本の1人当たりGDPは、中国インドに勝てるか

昨今の経済現象を鮮やかに切り、矛盾を指摘し、人々が信じて疑わない「通説」を粉砕する――。野口悠紀雄氏による連載第5回は、前回「2065年、日本の人口ピラミッドはどうなるか」(2019年12月22日配信)に続いて、世界の未来の姿を大胆に予測する。

 今後、20年から40年の期間に、中国の経済成長率は鈍化するものの、アメリカを抜いて世界一の経済大国になるでしょう。インドは高い成長率を続け、日本を抜いて、アメリカと拮抗する経済規模になります。
.

 経済規模や豊かさは、現在とはどのように変化するでしょうか? 

 これには、まず、人口動向が大きな影響を与えます。

 前回述べたように、若年者人口の増加率が高ければ労働力の増加率が高くなるので、経済成長率が高くなります。逆であれば逆になります。

 ヨーロッパや日本では、若年者人口の増加率が低い(あるいはマイナスになる)ので、経済成長率は低くなるでしょう。中国も経済成長率が低下するでしょう。

 それに対して、インドでは、若年者人口の増加率が高いので、経済成長率が高くなると予測されます。
.

 経済動向に影響するのは、人口だけではありません。

 それとともに、国民の教育水準や技術進歩などが大きな影響を与えます。

 アフリカ諸国は、若年者は増えても、経済発展につながるかどうか、わかりません。かえって貧困化が進行することも考えられます。

 このようにさまざまな要因が絡み合っているので、経済の予測は容易なことではありません。

 以下では、 OECD(経済協力開発機構)が行っている長期経済予測を参考として、2060年までの世界経済を考えることとします。
.

 (外部配信先では図表を全部閲覧できない場合があるので、その際は東洋経済オンライン内でお読みください)

■日本の比重は低下し、インドの比重が上昇

 図表1に示すとおり、世界の実質GDPは、2020年から2040年の間に1.72倍になり、2020年から2060年の間には2.62倍になります。

 年平均成長率で見ると、2020年から2040年の間では2.74%、2020年から2060年の間では2.44%になります。


OECD諸国とそれ以外の国を比べると、いずれの期間においても、OECD諸国の成長率が、それ以外の国より低くなっています。

 そして、ユーロ諸国の成長率は、OECD諸国よりもさらに低くなっています。

 このように、高所得国の成長率が比較的低いため、世界経済の中での比重は低下することになります。

 国別の状況は、図表1の下半分に示すとおりです。

 日本の成長率は、前頁で見たユーロ諸国の成長率よりさらに低くなっています。
.

 このため、世界経済の中での日本経済のシェアは、大きく低下することになるでしょう。

 なお、図表1のいちばん右の欄には、参考値として、IMF(国際通基金)による2023年の実質成長率の予測値を示してあります。

 これと比べると、日本の年平均成長率についてのOECDの予測値は、2倍近い値です。したがって、OECDの予測は過大である可能性もあります。

 アメリカの成長率は、世界全体の成長率よりは低くなっていますが、OECD諸国の平均成長率とほぼ等しく、ユーロ諸国の成長率よりは高くなっています。このため、高所得国の中でのアメリカのシェアは上昇することになるでしょう。
.

 なお、アメリカについて、OECDの予測値は、IMFの予測値よりは若干高くなっています。

 次に中国を見ると、2020年から2040年までの期間においては、成長率は世界全体の値より高くなっています。したがって、世界経済における中国の比率は、高まるでしょう。

 OECD諸国やユーロ諸国、あるいは日本と比べると、成長率はかなり高くなっています。したがって、現在の高所得国に対する中国の比率はかなり高まると見られます。
.

■中国の成長率は少子化の影響で将来は鈍化

 ところが、2020年から2060年の間の成長率は、2020年から2040年の間の成長率よりかなり低くなり、全世界の平均値より低くなっています。

 これは、少子化の影響で中国の経済成長率が鈍化することを示しています。

 また、OECDの予測値は、IMFの予測値と比べるとかなり低くなっています。


全文はソース元で 
東洋経済 1/5(日) 8:00配信
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200105-00322065-toyo-bus_all